レーシックへ入門してみよう
一にコスト、二にコスト、三にコスト…という叫びが先立つのはやむをえないとしても、マネジドケアの体制のもとで医療機関が存続していくためには、この「価値の公式」を是が非でも堅持していかざるをえないであろう。
世論や政府による規制の動きに敏感なのが米国社会の常である。 米国病院協会、米国医科大学協会など医療七団体は「責任あるマネジドケアのための連合」を結成し、一九九七年四月に七章三〇項目からなる「責任あるマネジドケアの原則」を発表した。
これはマネジドケアに向けられたものであるが、医療機関の責務も明らかにしている。 同連合は「原則」の中で、マネジドケアの証しは調和のとれた医療を推進し、同時に医療コストを引き下げることである、との基本的認識を示すとともに、マネジドケアをめぐる政策論議が次に示す問題の核心にあまりにも注意を払ってこなかったことを指摘している。
一九九八年五月、厚生省は医療費の動向に異変が起きたという報告をした。 ここ二〇年近くに渡って毎年ほぼ一兆円ずつ増えていた国民医療費が一九九七年度からブレーキがかかり、約五〇〇〇億円しか増えなくて二九・一兆円で収まり、九八年度には前年よりも減って二八・八兆円になる。
「ほう、そうですか」と納得する前に、ちょっと考えてほしい。 もしも、九七年度にわが国の病人が減り、健康人が増えた結果、医療需要が減ったというのならば、たいへん結構なことである。
しかしながら、世間でそのような喜ばしい話は聞かない。 じつに、この点で「国民医療費」なる用語の出自が明らかとなる。
この用語は国民皆保険制度を管理している政府厚生省の専門用語であり、詰まるところ、医療の実需を測る統計ではなく、医療保険の会計収支データのひとつに過ぎないのである。 経済学が教えるところでは、医療の需要は「不確実性」に特徴があるという。
つまり、人は予期せずして病気に罹り、患者となって医療の需要が発生する。 その不確実に発生する医療の費用負担、すなわち経済リスクが個人の生活を破滅させることがないようにと用意されたのが医療保障の仕組みである。
わが国のように政府が実質の保険者となる社会医療保険制度は、徴収した健康保険料をいったん公的にプールし、この不確実な医療需要の発生に備える相互扶助の仕組みである。 ところが、わが国では医療保険財政の収支が合わなくなると、そのたびに健康保険法を改正して、保険料率や患者負担などを増やすことを繰り返してきた。
その結果、このたびのように保険者側の医療保険支出が予想よりも減ることが起こりうるわけで、それを指して国民医療費が減少したと報じていたわけである。 もっとも、この史上初の医療費マイナス成長の見込みは、九八年九月の医療費が前年同月比で予想外に伸びていることがわかった九八年暮れに急遥、厚生省の発表により覆された。
かなり、政治的な背景も窺えるが、それはともかくとして、わが国の医療財政とその管理政策はたいへん難しい局面にあることはまちがいない。 ところで、H大学へ医療政策経営の研究に赴いて二年、ここで先進国、途上国を問わず、国々の社会医療政策研究者たちと交流するほどに、彼らの医療財政問題や財源規模の小ささを知り、国民全部に十分な医療サービスを行き渡らせることがいかに難しいものであるかをあらためて思い知らされる。
たとえば、先進国間で比較すれば、一億二四〇〇万人もの規模で国民に漏れなく医療保険を持たせているわが国は、医療保険加入者数の規模で米国に次いで多い。 米国では無保険者の数が一五%といわれるから、加入者数は約二億二四〇〇万人である。
一方、日本の次に医療保険の加入者数が多いのはドイツだが、その規模は日本の三分の二にあたる約八〇〇〇万人である。 参考までにいうと、社会保障が行き届いていることでよく引き合いに出されるスウェーデンでは完全公営医療であり、国民はほぼ無料で医療を受けられることが保証されているが、その意味では国民全部が「医療保険」を持っているのと同然といえる。
しかし、その国民の数は九〇〇万人に満たないものであり、つまりは、日本の都道府県レベルの人口規模である。 このように加入者規模を強調するのは、医療保険制度の難しさをマネジメントの観点からみているからである。
制度のマネジメント、つまり、「制度の経営」という視点に立つならば、サービス業の経営でよく問題になる、規模が大きくなったときの複雑ゆえのコスト増が無視できないはずである。 だから、日本とスウェーデンでは医療の社会保障にかかっている間接費は、けっして国民の数に比例しているとは考えられず、日本のほうが多くかかっているはずである。
そのように考えていくと、わが国の国民皆保険制度が約四〇年にわたって途切れることなく、また、おおむね医療保険内容を豊富にしながら、よくぞ今まで巧く運営してきたものだとの感想を持つ。 しかし残念ながら、他の国の研究者たちは概して日本の国民皆保険制度に学ぼうという動機には至らないようである。
言語上の障害ももちろんあるが、彼らの側の感想は、日本は特殊だということで片付けてしまうのである。 というのも、支払い側、診療側、そして、実質の保険者である政府側との間で行われる交渉といい、妥協といい、あまりにも日本的文化に頼った保険制度運営であること、そして、わが国の国民皆保険制度の実施が時を同じくして始まった高度経済成長時代に支えられていたという幸運もあり、制度経営の研究対象としては普遍性が乏しく、ほとんど参考にならないからである。
要するに、制度経営の論理が欠けているということでもある。 国民皆保険を達成してかれこれ四〇年に迫ろうという今日の日本だからこそ、世間一般でもその制度の是非を今一度議論すべきときではなかろうか。
今のように健康保険加入者の「所得」に応じて保険料〃を徴収し、不足を税金からの補助に頼るという仕組みでは、社会保険なのか福祉なのかが判然とせず、また、医療実需に備えるという点では根拠はないに等しい。 要するに、この程度の金を用意すれば足りるだろうといった、かなり原始的な保険経営であり、ずいぶん長い年月にわたって国民皆保険制度の経営に成功してきた国にしては、未だ科学的なリスク管理に至らずにいることが不思議でもある。
また、先のように当の国民にも分からないような国民医療費なるネーミングが使われる所以もその辺りにあるのかも知れない。 いま紹介した二つの話、わが国の国民医療費が医療実需ではなくて国民皆保険制度下での医療保険財源の支出動向をみるものにすぎないこと、そして、わが国の医療保険の制度経営に論理性が乏しいと思われること、これらのことを理解することは重要である。
このたびの研究留学を通じて、本題に掲げる米国生まれのマネジドケアなるものの本質は、現代社会において公営、民営を問わず医療保険制度を経営するための関係者間のリスク分担の論理を教えるものであると確信している。 それゆえ、マネジドケアが、人類未到の「大規模少子超高齢化成熟社会」に突入するわが国の社会保障制度改革の、とりわけ医療保険制度改革に与える示唆は大きいと考える。
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世論や政府による規制の動きに敏感なのが米国社会の常である。 米国病院協会、米国医科大学協会など医療七団体は「責任あるマネジドケアのための連合」を結成し、一九九七年四月に七章三〇項目からなる「責任あるマネジドケアの原則」を発表した。
これはマネジドケアに向けられたものであるが、医療機関の責務も明らかにしている。 同連合は「原則」の中で、マネジドケアの証しは調和のとれた医療を推進し、同時に医療コストを引き下げることである、との基本的認識を示すとともに、マネジドケアをめぐる政策論議が次に示す問題の核心にあまりにも注意を払ってこなかったことを指摘している。
一九九八年五月、厚生省は医療費の動向に異変が起きたという報告をした。 ここ二〇年近くに渡って毎年ほぼ一兆円ずつ増えていた国民医療費が一九九七年度からブレーキがかかり、約五〇〇〇億円しか増えなくて二九・一兆円で収まり、九八年度には前年よりも減って二八・八兆円になる。
「ほう、そうですか」と納得する前に、ちょっと考えてほしい。 もしも、九七年度にわが国の病人が減り、健康人が増えた結果、医療需要が減ったというのならば、たいへん結構なことである。
しかしながら、世間でそのような喜ばしい話は聞かない。 じつに、この点で「国民医療費」なる用語の出自が明らかとなる。
この用語は国民皆保険制度を管理している政府厚生省の専門用語であり、詰まるところ、医療の実需を測る統計ではなく、医療保険の会計収支データのひとつに過ぎないのである。 経済学が教えるところでは、医療の需要は「不確実性」に特徴があるという。
つまり、人は予期せずして病気に罹り、患者となって医療の需要が発生する。 その不確実に発生する医療の費用負担、すなわち経済リスクが個人の生活を破滅させることがないようにと用意されたのが医療保障の仕組みである。
わが国のように政府が実質の保険者となる社会医療保険制度は、徴収した健康保険料をいったん公的にプールし、この不確実な医療需要の発生に備える相互扶助の仕組みである。 ところが、わが国では医療保険財政の収支が合わなくなると、そのたびに健康保険法を改正して、保険料率や患者負担などを増やすことを繰り返してきた。
その結果、このたびのように保険者側の医療保険支出が予想よりも減ることが起こりうるわけで、それを指して国民医療費が減少したと報じていたわけである。 もっとも、この史上初の医療費マイナス成長の見込みは、九八年九月の医療費が前年同月比で予想外に伸びていることがわかった九八年暮れに急遥、厚生省の発表により覆された。
かなり、政治的な背景も窺えるが、それはともかくとして、わが国の医療財政とその管理政策はたいへん難しい局面にあることはまちがいない。 ところで、H大学へ医療政策経営の研究に赴いて二年、ここで先進国、途上国を問わず、国々の社会医療政策研究者たちと交流するほどに、彼らの医療財政問題や財源規模の小ささを知り、国民全部に十分な医療サービスを行き渡らせることがいかに難しいものであるかをあらためて思い知らされる。
たとえば、先進国間で比較すれば、一億二四〇〇万人もの規模で国民に漏れなく医療保険を持たせているわが国は、医療保険加入者数の規模で米国に次いで多い。 米国では無保険者の数が一五%といわれるから、加入者数は約二億二四〇〇万人である。
一方、日本の次に医療保険の加入者数が多いのはドイツだが、その規模は日本の三分の二にあたる約八〇〇〇万人である。 参考までにいうと、社会保障が行き届いていることでよく引き合いに出されるスウェーデンでは完全公営医療であり、国民はほぼ無料で医療を受けられることが保証されているが、その意味では国民全部が「医療保険」を持っているのと同然といえる。
しかし、その国民の数は九〇〇万人に満たないものであり、つまりは、日本の都道府県レベルの人口規模である。 このように加入者規模を強調するのは、医療保険制度の難しさをマネジメントの観点からみているからである。
制度のマネジメント、つまり、「制度の経営」という視点に立つならば、サービス業の経営でよく問題になる、規模が大きくなったときの複雑ゆえのコスト増が無視できないはずである。 だから、日本とスウェーデンでは医療の社会保障にかかっている間接費は、けっして国民の数に比例しているとは考えられず、日本のほうが多くかかっているはずである。
そのように考えていくと、わが国の国民皆保険制度が約四〇年にわたって途切れることなく、また、おおむね医療保険内容を豊富にしながら、よくぞ今まで巧く運営してきたものだとの感想を持つ。 しかし残念ながら、他の国の研究者たちは概して日本の国民皆保険制度に学ぼうという動機には至らないようである。
言語上の障害ももちろんあるが、彼らの側の感想は、日本は特殊だということで片付けてしまうのである。 というのも、支払い側、診療側、そして、実質の保険者である政府側との間で行われる交渉といい、妥協といい、あまりにも日本的文化に頼った保険制度運営であること、そして、わが国の国民皆保険制度の実施が時を同じくして始まった高度経済成長時代に支えられていたという幸運もあり、制度経営の研究対象としては普遍性が乏しく、ほとんど参考にならないからである。
要するに、制度経営の論理が欠けているということでもある。 国民皆保険を達成してかれこれ四〇年に迫ろうという今日の日本だからこそ、世間一般でもその制度の是非を今一度議論すべきときではなかろうか。
今のように健康保険加入者の「所得」に応じて保険料〃を徴収し、不足を税金からの補助に頼るという仕組みでは、社会保険なのか福祉なのかが判然とせず、また、医療実需に備えるという点では根拠はないに等しい。 要するに、この程度の金を用意すれば足りるだろうといった、かなり原始的な保険経営であり、ずいぶん長い年月にわたって国民皆保険制度の経営に成功してきた国にしては、未だ科学的なリスク管理に至らずにいることが不思議でもある。
また、先のように当の国民にも分からないような国民医療費なるネーミングが使われる所以もその辺りにあるのかも知れない。 いま紹介した二つの話、わが国の国民医療費が医療実需ではなくて国民皆保険制度下での医療保険財源の支出動向をみるものにすぎないこと、そして、わが国の医療保険の制度経営に論理性が乏しいと思われること、これらのことを理解することは重要である。
このたびの研究留学を通じて、本題に掲げる米国生まれのマネジドケアなるものの本質は、現代社会において公営、民営を問わず医療保険制度を経営するための関係者間のリスク分担の論理を教えるものであると確信している。 それゆえ、マネジドケアが、人類未到の「大規模少子超高齢化成熟社会」に突入するわが国の社会保障制度改革の、とりわけ医療保険制度改革に与える示唆は大きいと考える。
近視の適正化を 図ります。近視のお役立ちコンテンツ満載です。
近視がリニューアルしました。近視関連のノウハウを解説します。
近視がパワーアップしました!インパクトのある近視です。
視力回復をこれから探す方に朗報です。視力回復も悪くないんです。
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